2004年7月8日(木)~7月10日(土)パラマウント・ホーム・エンタテインメント・ジャパンの招待で来日されたジョージ・タケイ氏に通訳として同行された翻訳家山口智子(やまぐちさとこ)氏による記事(インタビューそのものでは無く、その時の様子)です。STfan.com の過去記事ですが、丹羽正之氏に許可を得た上で当サイトで再構成したものを公開しています。
7月8日(木)
そうなんです! ジョージ武井さんにお目に掛かれたのです。
興奮は、既に先週木曜の午後、成田空港で始まっていました。
今回のアテンドを担当されたS氏とK女史と一緒にお出迎え口で待機していた時のことです。
S氏の掲げる白い紙に並ぶのは、
Welcome!
Mr. George Takei
の文字。
ぱっと見てすっと行く人あり、ん?と気付いてじーっと見る人あり・・・
中には、「Oh! Is he…?」と言いながらS氏の顔をのぞき込む人も。
こたえは勿論、「Yes, he is!」です。『…』が誰であろうが構うものですか! 状態・・・(^_^;(笑)。
一番見事に反応してくれたのは、ヨーロッパ系某社のパイロットの方でした。
さすが同業者! 「Mr. George Takei」の文字を目にするなり、「George Takei? Mr. Sulu?」と言いながら、まっすぐこちらへ近づいて来られたのです。
その声は、同時に「信じられない! それはすごい!」と聞こえました。
とにかく大喜びのパイロット氏は、追い付いてきた同僚の皆さんを片っ端からつかまえて、 「ほら、あれ! George Takeiが来てるんだそうだ! そうそう、スタートレックの! ミスター・スールーだよ ほら! だから、パイロットなんだ〜!」と(^^)。
『パイロット』の部分に ひと際熱がこもっていたようです。
そうして待つこと1時間あまり・・・
出口がふわっと明るくなったような気がしたところに、ジョージさんが姿を現されました。
寛いだ格好なのに、なんともカッコイイのです!
姿勢の良さはピカイチなのに、どこにも無理が無いのです。やっぱりスターなんです。
長旅の疲れなど一切見当たりませんでした。SさんもKさんもσ(^^;も、嬉しさのあまりしばらくは声も出ませんでした。
移動の車中、会話の中心は常にジョージさんでした。
道路沿いに見える建物や、世の中の動き、参院選、大統領選、そして勿論スタートレック! 豊富な話題、類い稀なユーモアのセンス・・・
ジョージさんは、素晴らしい話し手であると同時に、熟練の聞き手でもあるのです。
初対面のS氏もK女史も、その会話を心から楽しんでいらしたと思います。
7月8日(木)夜
ホテルでお出迎えのパラマウントHEJ社のTさんYさんと合流後、翌日からの取材・イベントの打ち合わせが始まりました。
ジョージさんは参加されず、マネージャーのブラッドさんとのミーティングでした。
この時、『ハリウッド・スターのマネージャー』ということで、構えがなかったと言えば嘘になります。
『芸能人およびその関係者』については、通訳者仲間から聞かされた色々なエピソードがあり、心配だったのです。
でも、ブラッドさんは、長年ジョージさんと共に仕事をして来られた穏やかで人間味豊かな好人物でした。
印象的だったのは、ジョージさんがインタビューでは英語で話すか、それとも日本語で話すかについてのブラッドさんのこたえです。
「ジョージは心から話すから」
日本語で話すか、英語で話すかはジョージさんの判断によるというこたえであった訳ですが、ブラッドさんのジョージさんに対する深い信頼を感じました。
ジョージさんが、母語である英語の方が伝えられると考えれば英語だし、日本語を母語とする取材陣には日本語で伝えたいと考えるかも知れないが、いつだって彼は心から話すから、言葉は後からついてくる、と言われたのだと思います。
普段言葉に翻弄され通しの私にとっては、目の覚めるようなこたえでした。
実際のインタビューが何語で行われたかというと・・・
ジョージさんは、二日間、ほとんどずっと日本語でした。
そして常に、誠心誠意を貫かれました。
単語単位で思い出せない時だけが、私の仕事であったと言ってもいいくらいです。
インタビューに同席して、改めてブラッドさんのこたえに納得しました。
ミーティングの後は、パラマウントさんご招待の夕食会。
ジョージさんを中心に、スタートレックのこと、DVDのこと、東京ローズのこと、翌日から始まる取材のこと等々・・・
話に花が咲き、あっという間に時間が経ってしまいました。
そこでの会話をちょこっと‥ ご紹介します(^^)。
(このときは英語でした)
ジョージ: ブラッドは日本語喋らないからなぁ
ブラッド: (食事中。ちょっとデータ風)
ジョージ: 今回、日本語能力を、せめて10%は向上させて貰わないといけないな。
ブラッド: (データが首をかしげるようなしぐさ付きで) ん? そんなの簡単だよ。
ジョージ: ほう・・・
ブラッド: 10%でしょ?
ジョージ: ああ、そうだ。
ブラッド: 単語を1つ覚えればいい。10の10%は1だもの。
一 同 : (笑)
ブラッドさんがブレント・スパイナーさん似という訳ではないのですが、 雰囲気というか、口調というか・・・ どこかデータを思わせるところがあるのです。
Pages: 2(7月9日(金))へつづく